どれくらい必要?歯科医院開業のために必要な費用と受けられる補助金

歯科医師にとって自分の理想の診療が行える歯科医院開業は夢の1つです。

しかしほかの診療科よりもお金がかかるといわれるのが歯科医院の開業。

そこで今回は歯科医院を開業する際に必要な費用と活用したい補助金などをご紹介します。

歯科医院の開業に必要な費用とは?

歯科医院開業にはたくさんの資金が必要

でも実際にどのようなところにどれくらい必要になるのかはあまり知らないという方も多いと思います。

そこで歯科医院開業の初期費用を細かく見ていきましょう

1.物件費

歯科医院を開業する際にまず必要となるのが物件費です。

物件費は手持ちの土地や自宅を利用する方法とビルなどの1室を借りる方法など、使用する物件によって金額が異なります。

手持ちの物件を利用する場合には賃貸料が必要ありませんが、固定資産税などの費用がかかります。

賃貸の場合には賃料のほかに契約費が必要となります。

敷金などの契約費用は地域によって変わりますが、事業所として借りる場合には住宅用よりも多くの敷金または保証金が必要です。

2.内装・外装の工事費

歯科医院の開業ではレントゲン室用の放射線防護工事など、ほかの業種では必要のない工事内容があり費用も余計にかかります

また水の供給と排出が必要な診療ユニットを複数置くためには、配管の設置が多くなり工事費用がかさむので注意が必要です。

設備内容や規模によっても内装・外装にかかる費用は変わりますが、一般的には1,500~2,000万円が必要といわれています。

しかし以前、歯科医院が入っていた物件をそのままの状態で借りる居ぬき物件なら、工事費を大幅に抑えられることもあるので物件選びの際に不動産会社に確認してみましょう。

3.医療機器の購入費

歯科医院の開業の際、内装・外装費と同様にお金がかかるといわれるのが医療機器の購入費です。

歯科医院では専用の歯科治療ユニットやバキュームシステム、エアーコンプレッサーのほかにレントゲンの設備など、購入金額が高いものが多く必要となります。

こちらも診療所の規模や機器の品質によって金額が変わってきますが、一般的に1,200~1,500万円が必要といわれていて、最新の設備であれば2,000万円以上の費用が必要です。

4.消耗品の購入費

ここまでの費用は金額が大きくすぐに思いつくものばかりでしたが、実際に開業する際には細かなものに意外とたくさんの費用がかかってきます

歯科医院では治療に欠かせない医療用の消耗品以外にも、患者が使用する使い捨てのエプロンや紙コップなどの消耗品も多く、開業時の費用として100~200万円ほど確保しておくことが必要です。

5.広告費

パソコンを利用すればカラーの広告を個人で印刷することも可能です。

しかし新たに歯科医院を開業する際には掲載する媒体の選定や分析が集患数を大きく左右するので、しっかりと広告費も準備しておきましょう。

6.人件費

歯科医院の開業には受付や歯科衛生士などの雇用が必要となります。

このような雇用に必要な求人にも費用がかかります

また経営が安定するまでの人件費も開業に欠かせない費用となりますので、確保しておくことが必要です。

7.運転費用

治療機器や診療報酬の請求にかかわるシステムなどのメンテナンスやサポートに必要な費用も、運営費として用意しておきたい費用です。

導入する機器やシステムによってかかる金額が変わるので、購入時にしっかりと確認しておきましょう

8.その他

歯科医院に限らず忘れられがちな費用が光熱費などのランニングコストです。

開業しても診療報酬が入るまでの2か月間は収入が少ないので、経営の維持費として必要なランニングコストはゆとりをもって準備しておくと安心です。

歯科医院開業で使える補助金と助成金

歯科医院では開業時の費用に多くのお金が必要となるため、ぜひ知っておきたいのが活用できる補助金や助成金です。

そこで歯科医院開業で役立つ補助金や助成金の特徴などをご紹介します。

1.IT導入補助金

受付や電子カルテ、オンラインレセプトなど、パソコンなどのITツールを多く使用する歯科医院を開業するときにぜひ活用したいのが、IT導入補助金です。

制度の対象になっているITツール導入に際して申請を行えば、最大450万円までの費用が補助されます。

2.キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は非正規雇用の人材の待遇改善を行う事業主に支給される助成金です。

受付など短時間雇用も多い歯科医院なら、週の労働時間を5時間以上伸ばし新たに社会保険適用をクリアした場合に支給される短時間労働者労働時間延長コースが活用できます。

3.企業内人材育成助成金

技能検定合格者へ報奨金を出すなど歯科医院内での人材育成に継続的に取り組むと支給される助成金

さまざまな業務が混在する歯科医院だからこそ、人材の質を高めるために活用したい助成金です。

4.人材開発支援助成金

歯科医院内での業務にかかわる研修の受講に役立つのが人材開発支援助成金です。

外部の座学研修を10時間以上受けることや、入社5年以内で35歳以下の正社員であること、受講者の仕事に直結する研修であることなどの条件がありますが、1社あたり年額1,000万円と助成金額が高めなのでぜひ検討してみましょう。

5.労働環境向上助成金

評価・処遇制度・研修体系制度・健康づくり制度の3つの制度を導入し労働環境を向上させることで受けられる助成金

労働環境を向上させることは雇用者が喜ぶだけでなく、人材の定着にも役立ちます。

人材を長く雇用することは求人・教育にかかる費用を節約することにもつながり収益アップが期待できます。

6.両立支援等助成金

歯科衛生士や受付など女性の活躍する場所が多い歯科医院におすすめなのが、子育てや介護などの家庭状況と仕事を両立し女性の社会進出の支援に役立つ両立支援助成金です。

助成金の金額はコースなどによって異るので、ぜひ厚生労働省のホームページをチェックしてください。

7.トライアル雇用助成金

さまざまな理由から就職が難しい人材を新しく雇用した際に、試用期間の最大3か月の間1月に4万円の奨励金がもらえる制度

受給条件が多いのですが、雇用主と求職者の双方にメリットのある制度なのでぜひ検討してみましょう。

8.地域雇用開発促進助成金

首都圏以外の地域の雇用を増やすために設けられた制度

ハローワークの紹介で開業時に2名以上を雇用することや計画書の提出などのハードルがありますが、開業時には条件が低くなります。

また費用や対象人数をクリアすると最大960万円が支給されるので、検討に値する助成金制度です。

開業前から考えておきたい経営戦略

開業の際に必要なのは費用だけではありません。

できるだけ早く安定した経営に導くためには経営戦略を立てておくことも重要

ここからは計画・実践したい経営戦略をご紹介します。

ほかの歯科医院との差別化を図る

日本国内には多くの歯科医院があり、開業時も周りに既存の医院が複数あるということが多いものです。

そんな歯科医院だからこそ開業前に考えておきたいのが、ほかの医院と差別化を図ることです。

とくに審美治療やデンタルエステなど、注目度が高くほかの医院が取り入れていない施術を検討してみましょう。

保険診療に頼りすぎない

審美治療やデンタルエステなどのメニュー作りは、差別化だけでなく保険診療以外の収益にもつながります。

開業直後は診療報酬が入るまで厳しい経営となる場合が多いですが、保険診療以外のメニューがあれば、診療報酬だけに頼らず医院を経営することが可能です。

効果的な広告を行う

競争相手が多い歯科医院の場合、集患につながる広告も重要です。

コンサルタントなどを活用して医院に来てほしいターゲットを特定し、インターネットを利用した広告を取り入れることで多くの集患につながります。